毛色の変わったF1本を手に入れました

f1-business
F1ビジネス ―もう一つの自動車戦争

第3期Honda F1の初代社長だった人物による書籍です。
HondaのF1第1期はホンダのF1での挑戦の始まり、第2期はエンジンメーカーとしてしばらくマクラーレンと組んだ黄金期、第3期はシャーシーも含めて車全部をホンダとしてやって成功することを目指したが失敗、そして現在の第4期とまとめることができると思います。

この本を手にしたのは従来のF1本とはまったく違った視点で描かれていることが想像されたからです。
ドライバーでもなく、エンジニアでもなく、ジャーナリストでもない、第一線で多くの物事に直面したであろう人物による、わざわざ本を出すレベルのもの。そういう話が聞けるのかなと。

実際、まだ最初の方と、ぱらぱらっと興味を持った部分しか読んでいませんが、十分読み応えのある内容でした。
F1における政治、経済、交渉、興行の仕組み、そういったものが綴られています。
F1のことをまったくご存じない方にはお勧めしませんが、少しでも見たことがある方には、ぜひ手に取ってほしい本です。

F1は時にF1村と言われ、その中で、その裏で、行われる政治に嫌気がさしたと思う方も多いかと思います。
それはヨーロッパで発祥し、今もヨーロッパが中心であることにより、日本人が受けてきた差別を考えるとまた当然と言える一面もあるでしょう。

しかし、それはF1に限ったことなんでしょうか?スポーツに限ったことなんでしょうか?
ぼくは断言しますが、それは違います。
あらゆるものが政治であり、あらゆるものが経済的側面を持っています。

あなたの会社にはあなたと同僚、上司、後輩といった人々との関わりがあり、そういう人々が渦巻く中でどうやってあなたにとって居心地のいい空間にしていくのかというのは政治的問題です。
また、あなたが会社の顔であるならば、あなたは自分の会社に有利に働くように、同業者やライバル企業、監督する官庁、取り上げてくれそうなメディアなどに対して動く必要があり、これは十分政治的です。
町内会もそうでしょう、保護者会もそうでしょう、Twitterもそうでしょう、人が人に出会う時、それは自然と発生するものです。何も政治家だけが政治をやっているのではありません。

また、現代社会にとって、人が何かをするとき必ず必要になるのがお金です。これがなくては何も始まりません。
あなたの企画を通すためにはどのくらいの予算が必要で、それはどこから調達し、どうやってマネタイズするのか?あなたの給料はあなたの働きにどのくらい見合っているのか?
パンツ1枚から大型公共事業まで、何から何までお金がないと始まりません。
あなたができる限りあなたの思うよう、生きたいのであれば、あなたは必ず経済人でもあります。

そういった当たり前の誰にでも関係のある政治や経済などについて、F1を通して描かれているのが本書です。
この書籍は多くの日本のジャーナリストが言う、この業界は特殊で常識は通用しないという助言を否定し、一部の例外を除き「F1は通常のビジネスである」という内実を記しています。

ですから、F1を少しでも知っている人なら誰にでも勧められる1冊になっていると思います。

ちなみにぼくはお安くなっていたKindle版を購入しました。

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